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無料記事4:動物の「癒し効果」を考える
2018年05月30日 掲載
動物の「癒し効果」を考える
春になり、新しい人生の門出に立った時に、人間は心が躍るような気持になると同時に不安を感じることもある。新たな一歩を踏み出してからしばらく時がたつと、少しばかり心と体が疲れてくると感じる者も決して少なくない。そのような時に、またいかなる時にも、心が重くなった時には人は癒しを求めるのである。「癒し」という概念をもう少し平たく説明すれば、ストレスの軽減である。ストレスは万病の元と言われているが、正にその通りである。
では人は癒しをどこに求めたら良いのか、その答えを「動物」とする風潮がある。確かに動物と触れ合ったり、彼らのしぐさを見ていたりすることによって、心が軽くなるということは嘘ではない。しかし、そこには「条件」があることを多くの人は忘れてしまっている。もしかしたら忘れるというよりも、初めからわかっていないのかもしれない。その条件とは、一体どのようなものであろう?それは実に簡単なことである。人と動物の情緒は連動する、それ故にどちらかが悪い状態にあれば、それはもう一方に反映されてしまうのである。当法人が出版している
動物介在介入のガイドブック
の中で説明されている「原始の血の説」がそれである。人類の長い歴史の中で、動物と時空を共有してきた人間たちは、彼らを環境のバロメーターとして見ることがしばしばあったのである。動物が苦しんでいれば、そこの環境には自分をも苦しめる何かが存在する可能性が高いと人間たちは考えていたのである。自分も生き物である限り、他の生き物が栄える環境は自分にとっても良いであろうという常識的な感覚である。これを動物による癒しと捉えるのであれば、「彼らがハッピーであれば我らもハッピー」ということであろう。
さて、これを現代人の求める動物による癒しと照らし合わせてみると、様々な疑問が生じるようである。ペットから癒しを求めるのであれば、まず飼育状況が最良でなければならない。教育施設で動物を飼うのであれば、その動物たちが「本当に幸せ」でなければならない。少し前に、香港の大学で図書館犬が登場したというニュースを耳にした。この犬たちは勉強や試験に追われてストレスフルな生活を送っている学生たちに癒しをお届けするらしいが、かなり長い時間学内で活動をしているようである。地元の老舗活動団体に聞いてみると、彼らはこのような事態を決して容認はしていないようである。「活動時間が長すぎる」、「犬たちのストレスを考えていない」、等々批判的な声が聞こえてくる。原始の血の説から言えば、犬たちが疲労困憊していれば、人間にもマイナスの影響があるであろう。このような状態で動物に癒しを求めること自体本末転倒である。
困ったことに、幼い頃からこの原始的な感受性を意識するように育っていない人間は、このようなマイナスの影響を受けていてもそれを表立って感じることができないようである。動物園のクマの常同行動を見ても、「かわいいクマさんに癒される」と口にできる者もいれば、そのような光景を見ると嫌な気分になると感じられる者もいる。いずれの場合においても、ネガティブな空気を浴びていることは確かである。自分が知らぬところで少しずつ心が蝕まれていくのかもしれない。現代のメディアやエンターテインメントにおける動物の登場の仕方を見ていると、現代人の心がいかに蝕まれているかを感じざるを得ない。多くの動物たちの声に耳を澄ませてみると、聞こえてくるメッセージがある:「癒しを求めているなら他をあたってくれ」。
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