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無料記事8:動物虐待と対人暴力の連動性(LINK)
〜動物虐待が凶悪犯罪の予兆になるって本当?〜

2019年04月11日 掲載

「連続殺人犯が実は幼少期に動物を虐待していた」、「動物虐待は凶悪犯罪の予兆」などという報道は誰しもが一度は耳にしたことがあるのではないだろうか。

動物虐待そのものが増加傾向にあるのかは不明だが、最近メディアが動物虐待事件を報道する頻度は増えてきているような印象を受け、動物虐待に対する一般市民の関心が高まっていることがうかがえる。このような数ある報道の中で、上記のような「動物虐待は凶悪犯罪の予兆」というようなことをちらほら耳にすることがあるのではないだろうか。

それでは、本当に動物虐待が、人間に対する暴力のサインとなりうるのだろうか。

実際、すべての連続殺人犯が人を殺す前に動物を虐待しているわけでもなく、また、凶悪犯罪の前に必ず動物虐待が発生するわけではないが、ここ半世紀ほどの学術的な研究において、動物虐待が対人暴力と連動しているリスクがかなり高いことが示されている。このような動物虐待と対人暴力の連動性は、欧米では「LINK」という言葉を使って表現されている。

主に欧米において実施された研究がほとんどではあるが、例えば、子ども虐待、高齢者虐待やドメスティック・バイオレンス(DV)などの家庭内暴力が発生している家庭において、ペットも虐待されている確率が高いことが示されている。また、必ずしも動物虐待がエスカレートして凶悪犯罪に至るという時系列的な関係性を示す調査ばかりではないが、動物虐待が犯罪と連動していることを示す研究も数多く存在する。さらには、動物を積極的に虐待している加害者でなくても、動物虐待を目撃したり、動物への暴力にさらされるだけで、心理的負担になることはもちろん、暴力を容認してしまう価値観を醸成し、暴力を学習する機会となってしまうことを示す研究も公表されている。これまで学術研究で積み上げられてきた知見をわかりやすくまとめると、人間が暴力を振るわれているところでは動物に対しても暴力が振るわれている可能性が高く、また、動物に対する暴力にさらされるだけでも様々な悪影響が出る危険性があるということになる。

動物虐待と様々な対人暴力が連動しているという点は、欧米においてはすでにヒューマンサービスの実践において活用されている。例えば、アメリカのいくつかの州においては、子ども虐待や高齢者虐待などに対応する家庭福祉局と動物保護行政がクロスレポーティングを実施しているところもある。クロスレポーティングとは、一言で言ってしまえば、動物関係機関とヒューマンサービス機関の情報共有体制である。動物保護機関に動物虐待の通報があり、動物虐待調査官が現場に赴いた際に、例えば、その現場に虐待されている疑いがある子どもがいた場合、そのケースの情報を速やかに子ども家庭福祉機関と共有(リファーラル)でき、また逆の場合も同様の情報共有ができるような協力体制を指す言葉である。人間に対する暴力も、動物虐待も、早期発見でき社会全体が暴力に対してより迅速に対応できるようになると、多くの専門家がこのような体制を敷くことのメリットに注目している。

動物虐待を、「動物がかわいそう!」という視点だけにとどまらず、さらに一歩踏み出して、その他の暴力などと連動する反社会的行動の「一症状」として捉えることにより、動物に対する残酷な仕打ちのみならず、弱い立場にある人間に対する暴力の予防や早期発見にもつながる可能性があるのである。最近、人間と動物双方の専門家の間で、人間と動物の福祉は表裏一体であるということを意味する「One Welfare」や、人間の社会福祉上の課題に動物問題が見え隠れしており、それに対応する領域をあらわす「Veterinary Social Work」などの概念が注目されつつあるが、今まさにこれらの視点が求められているのではないだろうか。動物に対して暴力が振るわれているところでは、人間にその暴力が及ぶ危険性が高く、また逆も然りなのである。

「LINK」に関する学術研究が今までどのような知見を蓄積してきたか、欧米の実践で「LINK」の知見がどのように役立てられているか、当法人では日本で数少ない動物虐待と対人暴力の関係を紐解くテキストを販売している。「LINK」の知識を学び自身の専門職としての視野を広げたいと考えている社会福祉専門職または動物保護関係者や、「LINK」にかかわる調査研究をこれから始めたいと考えている研究者が基礎を包括的に学ぶ資料としてはおススメである。

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