一般社団法人アニマル・リテラシー総研
  • ALRIについて
  • ENGLISH
  • サービス一覧・料金表
  • お問い合わせ
  • ライブラリー(無料)
  • ライブラリー(有料)

無料記事8:動物虐待と対人暴力の連動性(LINK)
〜動物虐待が凶悪犯罪の予兆になるって本当?〜

2019年04月11日 掲載
2023年04月14日 更新
2024年03月22日 更新
2025年05月12日 更新

「連続殺人犯が実は幼少期に動物を虐待していた」、「動物虐待は凶悪犯罪の予兆」などという報道は誰しもが一度は耳にしたことがあるのではないだろうか。

動物虐待そのものが増加傾向にあるのかは不明だが、最近メディアが動物虐待事件を報道する頻度は増えてきているような印象を受け、動物虐待に対する一般市民の関心が高まっていることがうかがえる。このような数ある報道の中で、上記のような「動物虐待は凶悪犯罪の予兆」というようなことをちらほら耳にすることがあるのではないだろうか。

それでは、本当に動物虐待が、人間に対する暴力のサインとなりうるのだろうか。

実際、すべての連続殺人犯が人を殺す前に動物を虐待しているわけでもなく、また、凶悪犯罪の前に必ず動物虐待が発生するわけではないが、ここ半世紀ほどの学術的な研究において、動物虐待が対人暴力と連動しているリスクがかなり高いことが示されている。このような動物虐待と対人暴力の連動性は、欧米では「LINK」という言葉を使って表現されている。

主に欧米において実施された研究がほとんどではあるが、例えば、子ども虐待、高齢者虐待やドメスティック・バイオレンス(DV)などの家庭内暴力が発生している家庭において、ペットも虐待されている確率が高いことが示されている。また、必ずしも動物虐待がエスカレートして凶悪犯罪に至るという時系列的な関係性を示す調査ばかりではないが、動物虐待が犯罪と連動していることを示す研究も数多く存在する。さらには、動物を積極的に虐待している加害者でなくても、動物虐待を目撃したり、動物への暴力にさらされるだけで、心理的負担になることはもちろん、暴力を容認してしまう価値観を醸成し、暴力を学習する機会となってしまうことを示す研究も公表されている。これまで学術研究で積み上げられてきた知見をわかりやすくまとめると、人間が暴力を振るわれているところでは動物に対しても暴力が振るわれている可能性が高く、また、動物に対する暴力にさらされるだけでも様々な悪影響が出る危険性があるということになる。

動物虐待と様々な対人暴力が連動しているという点は、欧米においてはすでにヒューマンサービスの実践において活用されている。例えば、アメリカのいくつかの州においては、子ども虐待や高齢者虐待などに対応する家庭福祉局と動物保護行政がクロスレポーティングを実施しているところもある。クロスレポーティングとは、一言で言ってしまえば、動物関係機関とヒューマンサービス機関の情報共有体制である。動物保護機関に動物虐待の通報があり、動物虐待調査官が現場に赴いた際に、例えば、その現場に虐待されている疑いがある子どもがいた場合、そのケースの情報を速やかに子ども家庭福祉機関と共有(リファーラル)でき、また逆の場合も同様の情報共有ができるような協力体制を指す言葉である。人間に対する暴力も、動物虐待も、早期発見でき社会全体が暴力に対してより迅速に対応できるようになると、多くの専門家がこのような体制を敷くことのメリットに注目している。

動物虐待を、「動物がかわいそう!」という視点だけにとどまらず、さらに一歩踏み出して、その他の暴力などと連動する反社会的行動の「一症状」として捉えることにより、動物に対する残酷な仕打ちのみならず、弱い立場にある人間に対する暴力の予防や早期発見にもつながる可能性があるのである。最近、人間と動物双方の専門家の間で、人間と動物の福祉は表裏一体であるということを意味する「One Welfare」や、人間の社会福祉上の課題に動物問題が見え隠れしており、それに対応する領域をあらわす「Veterinary Social Work」などの概念が注目されつつあるが、今まさにこれらの視点が求められているのではないだろうか。動物に対して暴力が振るわれているところでは、人間にその暴力が及ぶ危険性が高く、また逆も然りなのである。

「LINK」に関する学術研究が今までどのような知見を蓄積してきたか、欧米の実践で「LINK」の知見がどのように役立てられているか、当法人では日本で数少ない動物虐待と対人暴力の関係を紐解くテキストを販売している。「LINK」の知識を学び自身の専門職としての視野を広げたいと考えている社会福祉専門職または動物保護関係者や、「LINK」にかかわる調査研究をこれから始めたいと考えている研究者が基礎を包括的に学ぶ資料としてはおススメである。


2023年4月14日追記 (2025年5月12更新)

当法人では、動物虐待と対人暴力の連動性「LINK」について、様々な形で情報を発信している。中には無料のリソースもあるので、LINKについてさらに知識を身に付けたいという読者はぜひ活用してほしい。

無料記事

・無料記事12:アニマル・ホーディング〜動物と人間の福祉を脅かす社会問題〜
・無料記事19: 動物虐待の目撃、見ている人に悪影響?
・無料記事20:Veterinary Social Work (VSW)社会福祉的支援と動物問題が交差する課題にはどのようなものがあるの?
・無料記事24:動物の状態は家庭の指標!?子どもの見守りにおいて「動物」という要素を活かす
・無料記事27:LINKの知識を実践に活用する ― 海外の取り組み
・無料記事29: 人は何故動物に暴力を振るうのか 〜動物虐待の背景にあるもの〜

無料動画

・動物虐待と対人暴力は連動する!?「LINK」と言われる現象に迫る
・動物虐待、実は目撃する人間にも悪影響!?
・LINKの知識を活用し、人と動物双方にとってより安心・安全な社会を目指す
・FBライブ配信_動物虐待と対人暴力の連動性 -人と動物双方を守るための知見-
・FB ライブ配信_動物虐待と犯罪の連動性 -人も動物も暮らしやすい社会に向けて-
・FB ライブ配信_動物虐待と子ども虐待の連動性 -家庭内の弱者を暴力から守る-
・FBライブ配信_動物虐待は『動物』だけの問題ではない!?

SNSインフォグラフィック

・動物虐待と対人暴力の連動性LINK 動物のために、社会のために、つながりを知る

有料電子資料(PDF)

指針・報告書など
・動物虐待と対人暴力の連動性〜動物に対する暴力と人に対する暴力の表裏一体の関係性を探る〜
・アニマル・ホーディング: 動物と人間の課題への対応
・ドメスティック・バイオレンス(DV)
被害者のペットを保護するプログラム〜DV被害者とペットを包括的に支援するプログラムを設立するための指針〜

・LINK の知識を子どもの見守りに活用する 〜子どもの安心・安全における「動物」という要素〜
・LINK の視点から考える、動物虐待への対応システムと課題〜人と動物双方がより健やかに暮らせる社会に向けて〜
・クロスレポーティング体制構築の指針 〜人と動物に対する暴力を早期発見できる社会の実現に向けて〜
・愛玩動物看護師のためのLINK の基礎 〜動物虐待と対人暴力の連動性の知見を獣医療現場の実践で活かす〜

ファクトシート
・動物虐待と対人暴力の関連性(LINK)とは?
・家庭内における動物虐待と対人暴力の関連性(LINK)〜動物虐待と子ども虐待の連動性について〜 
・家庭内における動物虐待と対人暴力の関連性(LINK)〜動物虐待とドメスティック・バイオレンス(DV)の連動性について〜
・家庭内における動物虐待と対人暴力の関連性(LINK)〜動物虐待と高齢者虐待の連動性について〜
・動物虐待と犯罪の関連性(LINK)〜動物虐待と反社会的行動の連動性〜
・動物虐待への暴露が及ぼす影響
・動物虐待の背景にある理論や要素 〜人は何故、動物を虐待するのか〜 
・動物虐待の加害者への対応方法 〜LINK の視点を活用する〜

ニュースレター
当法人が発行しているVeterinary Social Workのニュースレター「VSW情報センター 〜人の社会福祉における動物のいちづけ〜 ニュースレター」で、LINKにかかわるトピックスを扱う号は以下の通りである。

・VSW情報センター 〜人の社会福祉における動物のいちづけ〜 ニュースレターVol. 3
「災害における動物救護」、「気になる通り魔事件の報道、陰には動物虐待も…」他

・VSW情報センター 〜人の社会福祉における動物のいちづけ〜 ニュースレターVol. 5
「児童略奪事件の加害者による動物虐待」、「National Link Coalition」他

・VSW情報センター 〜人の社会福祉における動物のいちづけ〜 ニュースレターVol. 6
「DV 被害者とペット」、「動物虐待専任タスクフォース」他

・VSW情報センター 〜人の社会福祉における動物のいちづけ〜 ニュースレターVol. 7
「クロスレポーティングとは」、「スポット・アビュース・プロジェクト」他

・VSW情報センター 〜人の社会福祉における動物のいちづけ〜 ニュースレターVol. 15
「動物虐待と対人暴力の連動性『LINK』、知見を実践に活用する」他

・VSW情報センター 〜人の社会福祉における動物のいちづけ〜 ニュースレター Vol. 19
「海外では法令にも取り込まれている『LINK』という概念」他

・VSW情報センター 〜人の社会福祉における動物のいちづけ〜 ニュースレター Vol. 20
「子どもと動物、黄金の組み合わせ?」他

オンラインセミナー

当法人では、【動物虐待と対人暴力の連動性を探るオンライン講座シリーズ】と題して、合計6回にわたり、動物虐待と対人暴力の連動性(LINK)に関するオンラインセミナーを開催している。スケジュールやトピックスなどの詳細は、こちらを参照してほしい。

カテゴリーから探す

  • ・ペットとヒトの関係
  • ・動物福祉
  • ・動物介在介入(AAI)
  • ・動物虐待と対人暴力 (LINK)
  • ・【有料】ライブラリー
  • ・【無料】ライブラリー

動物関連トピックス

  • ・イベント・セミナー一覧ページはこちら
  • ・動物関連情報はこちら
  • ・メディア掲載情報はこちら
  • ・電子資料カタログはこちら

コンテンツ

  • ・法人概要
  • ・決算公告
  • ・ALRIについて
  • ・ENGLISH(About ALRI)
  • ・サービス一覧・料金表
  • ・利用規約
  • ・プライバシーポリシー
  • ・特定商取引法に基づく表示
  • ・開示請求等の手続きについて
  • ・購入時にご確認ください。
  youtube

フェイスブック


  • ホーム
  • 法人概要
  • 利用規約
  • プライバシーポリシー
  • 特定商取引法に基づく表示
  • お問い合わせ

© 2025 一般社団法人アニマル・リテラシー総研 All Rights Reserved.