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無料記事14:人と動物の関係を考え、学ぶ 〜アニマル・リテラシーを身に付けるための人と動物の関係学〜
2021年3月15日 掲載
目次:
1:人と動物の関係を改めて考える
2:今こそ必要な、動物に関する一般教養「アニマル・リテラシー」
3:アニマル・リテラシーを身に付けるために、人と動物の関係学という提案
1:人と動物の関係を改めて考える
人間は、多くの動物たちに支えられながら生活をしているということを決して忘れてはならない。
人間に職をもたらす動物もいれば、人間が使用する薬物などの安全性の確認を代替わりしてくれる動物たちや、私たちの食事となってくれる動物もいるのである。特にこれらの動物たちに関しては、動物に対する「好き・嫌い」という感情を超えてすべての人間がかかわりを持たざるを得ないのである。動物というとすぐに愛護、保護、好き・嫌い等々の言葉と結びついてしまうようであるが、実は人間にとって、自分たちにかかわりのある動物は愛玩動物をはるかに上回る数で存在するのである。
たとえペットを飼っていなくても、たとえ動物嫌いでも、私たちは社会で生きていく上で、動物とのかかわりを絶つことができないのである。
このように日頃から我々と密接にかかわっている動物たちを、いつから自分たち人間と分けて考えるようになったのだろうか。自然の中では人間は動物であり、哺乳類として分類されている。しかし、何故か人間は自分たちが全く異なる存在であるかのように振る舞ってきた。法や文化、そして社会の形成等々、人間はあたかも自分たちだけのものであるかのように語るのであるが、実は決してそうではない。動物の世界にも社会を形成する様々な種が存在する。そして、それらの社会の中には指導者の選び方、優先される個体の識別と定義、物事の順列など、はっきりと決まっている事柄がたくさんある。道具を使う文化をチンパンジーが有することは有名な話であるが、食を確保するための道具、動作、場所等々も、動物種によっては先祖代々受け継がれてきた文化として存在するのである。そのようなことを考えてみると、人間は決して特別な存在ではないことが一目瞭然となる。
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2:今こそ必要な、動物に関する一般教養「アニマル・リテラシー」
地球という生息地にて我々人間と時間と空間を共有しており、かつ日頃から様々な側面で誰しもがお世話になっている動物たちとのつながりに関心を持ち知るということは、全人類に必要とされていることではなかろうか。言い換えれば、動物に関する知識は一般教養、すなわち「アニマル・リテラシー」として位置付けられるべきなのである。
世界を一大パニックに陥れた新型コロナウィルスは、野生動物由来の感染症であるという説がある。この説によると、どうやら「食」を通して野生動物から人間へとウイルスが広まったとのことである。菜食主義者もいるが、大半の人間は動物を食して生きている。つまり、我々の体内に入る動物たちの健康状態は、我々にとっても重要事項であり、彼らの日頃からの健康状態は、むしろ彼らのためにではなく人間のために最優先されるべき事柄なのである。毎日自分が口にする動物は、果たして心身の健康を重視する育成方法の下で育てられているのであろうか?これはすべての人間が関心を持っていなければならないことであろう。
しかし、鶏、豚や牛などの育成現場の改善を求める発言は、生産者側からは「犬や猫とは違う。動物愛護の人たちは勝手なことを言う!」というような反応を引き出してしまうのである。
重要なことは、動物の扱いや動物に対する態度などを様々な分野で改善していくことは、実は
動物のためではなく人のためである場合が多い
という点に、社会全体がまだ気づいていないということなのである。その気づきをもたらすために必要なのは、あらゆる動物の現状と、それぞれの動物が人間とどのようにかかわっているのか、人々に学ばせるということであろう。それをもたらすために必要なものが「動物一般教養」、すなわちアニマル・リテラシーを教えるカリキュラムである。畜産の現場で使用される抗生物質が原因となって耐性を有する病原体が出現し、いざ人間が感染を起こした際に薬が効かないなどということが起こる。マニア以外の者たちには関係がないと思われている野生の珍獣や危険生物などの飼育であるが、災害が起こった時には、それらが街に逃げ出すかもしれぬ。そうでなくとも、新型コロナのようにそれらの生物がどのような感染症を人間社会にもたらしてしまうかについても未知数である。ガーデニング好きの人間たちが何気なく使用している殺虫剤が昆虫の数を減少させれば、それを食す鳥の数も減少させてしまう。鳥が減少すれば、食物連鎖全体が乱れていく。そして、地球環境のさらなる悪化につながっていく。このような関連性、すなわち「interconnectedness」は、挙げていけばきりがないのである。
繰り返し言うようであるが、このような動物とのつながりは、動物の専門家のみならず、一般教養としてすべての人間が身に付けていかなければならないものなのである。自分たちだけですべてのものごとが回っているような気になっている人間が、しばし立ち止まり辺りを見回すことが必要なのである。
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3:アニマル・リテラシーを身に付けるために、人と動物の関係学という提案
周囲の自然の中の生き物たちは今どうしているのか、展示されている野生獣は本当に自然の姿を人間に学習させてくれているのか、癒しを求められ活動を展開させている動物たちが本当に癒しを与えてくれるのか、学校で飼育されている動物たちは子どもたちに生命尊重の理念を植え付けてくれているのか、毎日自分の食卓に上がる動物たちはどのように生産されているのか… 殺処分ゼロやペットショップの改革を唱えて運動することも大切であろうが、それは人と動物のつながりにおいて、扇の骨の一本に過ぎないのである。
そこで、人と動物の関係学が必要となるのである。
人と動物の関係学とは、これまでに言及してきた私たち人間と動物の社会的なかかわりを含めた、人と動物の接点を追究し検討するための学際的な分野で、動物に関する一般教養、すなわち「アニマル・リテラシー」を身に付けるための学問としても位置付けられる。先程の扇の例えを使うと、扇面全体に描かれた絵を見渡すための学問なのである。この扇面全体を見渡す視点を身に付けてこそ、アニマル・リテラシーが身に付いたと言えるのである。これを具体的にはどのような形で教育に落とし込んでいくことができるかの一つの提言として、当法人ではこの度、
人と動物の関係学のカリキュラムを概観した電子資料
の販売を開始した。また、このトビックスについては当法人のYou Tubeチャンネルでも
動画
を公開しているので、そちらもぜひ活用してほしい。教える者によって考え方は様々であろうが、前述してきた今必要とされている教養の教え方の一つとして受け止めていただければ幸いである。
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