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無料記事10:生命尊重教育・動物愛護教育 
− 責任ある地球市民を育てるためには必須!?

2019年10月10日 掲載

生命尊重教育・動物愛護教育 − 責任ある地球市民を育てるためには必須!?

今年も動物愛護週間中、様々なイベントが繰り広げられ、私たちを癒してくれる動物たちに対する社会の理解が少し広まった気がする。
様々な行事には、たくさんの子どもたちの姿も見受けられた。やはり子どもと動物のつながりは、私たち大人にとっても大変気になる課題である。特に、都市部の人口が増え、住宅事情や生活環境などの事情で自然や動物と接触する機会が少ない生活を送っている子どもたちにとって、動物という媒体を教育に登場させることが重要であるということは昨今多くの関係者たちが主張している。

しかし、動物という要素が何故子どもたちにとってそれほどまでに重要なのだろうか?

最近の社会情勢を見て、子どもの興味の対象としての動物たちの位置付けが危ぶまれている印象を受ける具体例を紹介しよう。知り合いの10代の子を持つ親御さんがある時息子と出かけようと声をかけたら、「友達とテレビゲームをやっているから忙しい」と言われたそうだ。友達とは誰か聞いたところ○○、と奇妙なあだ名のような名前が返ってきたそうだ。どこの子かと聞いたところ、遠く離れた地名を息子が口にし、○○は本当の名前か聞いたところ、息子はややイラついた声で「そんなこと知らないよ!」と返答したそうだ。

さてさて、これは一体どのようなことなのだろう?これは別に珍しいことでも奇天烈なことでもない。子どもたちの世界は今やサイバー空間にどっぷりとつかっているのである。米国小児科学会(American Academy of Pediatrics)では、インターネットゲーム障がい(internet gaming disorder)という言葉が取り上げられるようになってきている。1)また最近では、シリコンバレーに勤務する親たちの間で自分たちの子どもを自然志向の強い幼稚園などに入園させる傾向が強まっているようである。人間同士の体験の共有はネット上でもできないわけではないが、「顔の見える」関係での体験の共有とはやはり違うと言われている。

前述したシリコンバレーの親たちの新たな選択は実はテクノロジーが乱舞する世界の一歩先に進んだものであると考えられるのである。社会が抱える様々な人間問題に今後対応していくためには、何が必要なのだろうか?そこに見える一つの答えが、「生き物同士の関係」をより活性化していくことであろう。人間同士の関係を構築することが難しいと感じている者にとっては、動物との付き合いもまた生き物同士の関係なのである。幼い子どもは、生まれた時から自然と他の生き物に対する好奇心や親近感を持っているのである。これを取り上げることなく育てることができれば、子どもたちは顔の見える関係の中での体験の共有の意味や価値を、身をもって知ることができるだろう。命の教育とは、優しい人間、他者の気持ちに共感できる人間を育てるためのものではない。人間が人間としての本来の姿を取り戻すための教育であると言えよう。取り戻す、という言葉もふさわしくないかもしれない。人間が本来持って生まれたはずの周囲の環境や自然に対する感受性を失わせないようにするための教育なのである。子どもにどのように何を教えるかは重大なテーマであり、簡単に答えを出すことのできない課題も多くある。しかし、子どもを育てることは地球の未来を育てることに他ならない。たかが動物という人もいるだろうが、されど動物。子どもたちに未来の世界を託すためには、他の命との折り合いをどのようにして付けていくかを学ばせることが必須なのである。

子どもたちと動物を接触させる試みには様々なものがあるが、それらには皆はっきりとした目的がなければならない。動物を介在させる教育の目標には一体どのようなものがあるのであろうか?生命を尊重させるようにするためには本当に生きた動物と接することが必要なのであろうか?また学校動物の役割とは一体何なのであろう?子どもと動物という課題に関わる様々な試みは重複するところもあるが、それぞれ異なる目標や実践への指針があり、動物を教育に用いることを検討している者は、その基本を理解することが必須であろう。また、動物は子どもたちにとって必要な要素であるとはいうものの、やり方を間違えれば子どもたちと他の命との関係が歪んでしまう可能性もある。「動物介在教育(AAE)と生命尊重教育の基本 〜保護者、教職員、そしてすべての大人たちへ〜」は、そのような様々な試みの意味や違い、動物が子どもにもたらす恩恵や生命尊重教育の落とし穴など、様々な課題を取り上げ子どもと動物というテーマに対する基礎的な情報を提供している。ぜひ未来の地球市民の教育に役立てていただきたい。

1) Gentile, D.A. et al. (2017). Internet gaming disorder in children and adolescents. Pediatrics, 140, S81-S85; DOI: 10.1542/peds.2016-1758H

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