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図書を生命尊重教育に活用する

2024年1月19日 掲載

目次:
動物との触れ合いに偏りがちな生命尊重教育
図書を生命尊重教育に活用する
生命尊重教育に活用できる図書にはどのようなものがあるの?


動物との触れ合いに偏りがちな生命尊重教育

近年、「生命尊重教育」という言葉を耳にすることが多くなったと感じる。やはり環境教育なども含め、命を大切にすることを子どもたちに教えることに対する関心が高まってきたのであろう。その中においては、動物を用いた「触れ合い活動」というものの活用が大変多く見受けられる。実際に動物を触り、そこから命を感じることが重要であるという考え方に基づいたものなのであろう。しかし、時には動物の使い方が不適切、さらには虐待的であると思われるような現場を目にすることもある。子どもたちに命を大切にすることを学ばせるのが目的であるにもかかわらず、このようなことが行われているとしたら正に本末転倒である。
そもそも、生命尊重教育に生きた動物をかかわらせることが必須であるかどうかを真剣に考える人々も少ないのではなかろうか。動物を撫でたり抱いたりすることで、そのぬくもりを感じられる。それ故に、そのような現場では一気に命を理解させることが可能となると考える者たちが多い。これは考えようによっては、極めて安易な方法であると言える。乱暴に言ってしまえば、生身の動物を触らせてさえおけば、子どもは自動的に命を重んじるようになると思っている者たちが多いのかもしれぬ。

 

図書を生命尊重教育に活用する

本当にそうであろうか?また、その他の方法はないのであろうか?そもそも多くの子どもたちに「ぬくもりを感じさせる」ために、どれだけの動物を用意しなければならないのであろうか?そして、適正のある個体は十分な数を揃えることができるのだろうか?このような多くの疑問が浮かんでくる。そこで考えなければならないのは、生命尊重教育の手段である。過去の無料記事で整理したように、実際に動物を参加させずとも実施できる方法はたくさんある。その中の一つが、優良図書の活用である。人間と動物の関係や自然の中の動物のあり方等々を伝えてくれる優良図書は数多く出版されている。それらを読み聞かせや読書感想文などに活用することで、子どもたちには多くのことを学ばせることができるのである。

 

生命尊重教育に活用できる図書にはどのようなものがあるの?

当法人でもこういった優良図書を活用して、子どもたちにどのようなメッセージを伝えることができるかについて、電子資料(PDF)「図書を通した生命尊重教育〜絵本で学ぶ、命の尊さ〜」を販売している。この電子資料では、児童書をいくつかのジャンルに分けて紹介している。各課題に該当する図書をジャンルごとにいくつか紹介し、生命尊重教育に用いることができる図書の見本例として提示しているのである。言うまでもなく優良図書はたくさんあるが、動物を題材とした本がすべて良いというわけではない。中には動物の姿やあり方を誤った形で描いてしまっているものもある。また、本の中には人と動物のかかわり方が適切に描写されていないものもある。さらには、過剰な擬人化がやや気になる作品もある。教育に活用する際は、こういった作品を選択せぬように気をつける必要もあろう。しかし、動物のあり方などをしっかりと描いた作品を子どもたちに与えれば、極めて有効な生命尊重教育の手段となるであろう。
この電子資料においては、「命のつながり」を理解させるための絵本をはじめに紹介している。人間がいかに多くの命に囲まれているか、人間の命がいかに他の命とつながっているかなどを伝える図書をいくつか取り上げている。動物を大切にすることを教えることも重要ではあるが、まずは生きている者たちの世界を幅広く「見る、感じる」ことが重要なことではなかろうか。また、自然界の様々な生き物と人とのかかわりを伝える作品も加えている。
言うまでもなく、ペットとして飼われている動物と人との関係も大きなジャンルの一つである。そこには保護動物の話やペットロスという喪失体験にまつわる物語も含まれている。子どもにとって、ペットの犬や猫は非常に身近な存在である。それらの動物の気持ちや境遇、暮らしなどを子どもたちが改めて考える機会を与える児童図書はたくさんある。特に死にまつわることがらは、なかなかうまく子どもに伝えることが難しいこともある。優良な絵本を通して、子どもが動物の死を理解し受け止められるようになることもある。教育という観点のみならず、子どもの心を支える手段としても役に立つ本があるのである。
また、こういった生命尊重教育に活用できる優良図書の中には高学年向けのものもたくさんある。環境問題と動物のつながりを解説している本などは、中高生にとっても社会や自然科学の授業の一環として役に立つであろう。また、当法人の電子資料では、絵本以外にも小学校高学年を対象とした読書活動に活用してほしい本もいくつか紹介しているが、このような本を課題図書とし読書感想文などを書かせることによって、その内容をより深く考えるきっかけを作ることもできる。
優良図書の中には、補助犬のことを取り上げた特殊な絵本も出版されている。社会で人間をサポートする犬たちのことを子どもたちが理解することで、「入店拒否」などの現状の問題などを将来的には解決する礎を築くこともできるのではなかろうか。
生命尊重教育に役立つ優良図書と一口に言っても、上記のように様々な図書が出版されている。これらの図書をどこでどのように活用するかは、それぞれが決めれば良いことである。以前、生命尊重教育に関するセミナーを受講した方の中に犬を連れて幼稚園の訪問活動をされている方がおられた。その方は、子どもたちが犬と遊んだ後に上述した電子資料でも紹介している「月からきたうさぎ」1)という絵本の読み聞かせを始めたと言っておられた。犬たちと直接触れ合った後で、その他の動物にまつわる感動的な話をしっかりと聞かせる、そこから命をもっと考えるようになると考えておられたようである。ちなみにこの絵本は、幼稚園の園長が毎回リクエストされている作品であるそうだ。

このように、生命尊重教育に使える教材は本当に奥が深いものである。「図書を活用する」と一口に言っても、図書の扱う動物関連の課題は様々なであり、それを活用して子どもたちに伝えることができるメッセージも多種多様である。「犬を連れて子どもたちを訪問し、犬と触れ合って命のぬくもりを感じてもらった」という活動を決して否定するつもりはないが、「命のぬくもり」という漠然とした学習課題から一歩踏み込んだ教育に優良図書を活用するという選択肢もあるということをぜひ頭の片隅に置いておいていただきたい。


1) みなみらんぽう. (1993). 月からきたうさぎ. 東京: 株式会社学習研究社.

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