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無料記事6:それって、動物のため?①

2018年12月17日 掲載

動物にやさしい選択は、人間にもやさしい選択なのではないだろうか。

動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護法)の改正が世の中の話題になっているここ最近、動物保護に関するニュースや情報がかなり多く出回っているという印象を受ける。また、「動物福祉」という言葉も、ひと昔前と比べるとよく耳にするようになってきている。ペットの犬猫の保護はもちろん、農業動物や実験動物の境遇を改善すべく、動物保護団体やその関係者が日々活動している姿が、日本でも昨今は比較的頻繁に取り上げられるようになってきているのではないだろうか。

しかし、動物保護団体が「動物のため」と頑張っている取り組みは、果たして動物だけに恩恵をもたらすものなのだろうか。

例えば、農業動物一つをとっても、ストレスのかかる過密状態で飼育している動物のほうが病気などになりやすく、食肉汚染等々が懸念される。その結果、抗生物質を低量で継続的に与え、家畜の病気を予防するという手段が畜産の現場では用いられているのだが、このような手段を用いれば、当然耐性を有する病原体が出現し、人間の健康にも悪影響が出る危険性もある。すなわち、農業動物の健康や福祉に配慮して過度のストレスがかからないようにした飼育管理体制は、人間の健康や福祉にも多大な影響を与える重要事項なのである。

また、実験動物の犠牲を減らすためにと、動物を用いない研究・試験方法(代替法)を推進する動物保護団体も見受けられる。当たり前ではあるが、人間と動物では種差があり、そのために動物実験で得られた結果は必ずしも化学物質の人間の体内での作用を適切に予測しているとは限らないと言われていることをご存知だろうか。近年、動物を用いない代替法が多く開発されているが、これらの方法は、ヒト生物学を基盤としている方法で、種差の問題がなく、開発が進めば動物実験よりも予測力が高く、スピーディーで安価な実験方法となることが期待されている。現時点では、すべての動物実験に対して動物を使わない代替法が確立されているわけではないが、動物実験から代替法に移行していくことは、動物保護団体が主たる目的として掲げる実験動物の犠牲を減らすという効果はもちろんのこと、医薬品の開発時間の短縮やコストカット、さらには消費者の安全性の向上につながることも期待されている。

私たちにとって一番身近な動物であるペットも、決して人間の健康や福祉と無関係ではない。当法人でもよく取り上げるように、ペットの虐待は家庭内暴力と連動していると言われているが、言い換えれば、ペットが虐待されている家庭においては、人間に対しても暴力が振るわれているケースが多いということなのである。海外では、この動物虐待と対人暴力の連動性はLINKと呼ばれ、動物保護団体とヒューマンサービスが一丸となり、人間と動物を同時に暴力から守る取り組みが多数実施されている。

改めて、これらの動物保護関連の問題とされている様々な課題を見渡し、これらが本当に動物のみのためであるかについて問うと、動物への配慮により人間も恩恵を受けることができる場面が多々あることに気づかされるのではないだろうか。

この点は、何も動物保護に直結する課題だけに言えることではない。例えば、当法人が度々扱っている動物介在介入(AAI)においては、活動に参加させる動物の福祉への配慮の重要性が謳われているが、これは動物のためのみならず、実践理論上、動物が幸せで「ハッピー」な状態でない限り、そもそもの目的である「癒し」の効果を得ることすらできないということが言われているためである。つまりは極端な話、人間の医療福祉に役立てられている「癒し」の効果は、動物への配慮なくしては得られないということである。

近年、人間と動物の健康や福祉が表裏一体である、すなわち動物が健康で幸せであれば、人間も同じく健康で幸せであるということを謳う「One Health」や「One Welfare」という概念が、動物と人間の(獣)医療福祉関係者双方から注目されているが、まさにその通りなのではなかろうか。私たち人間は、地球で暮らすあらゆる生命の一員として、また自分たちの生活の中で動物を活用する者として、動物に配慮する道義的責任があることはもちろんであるが、見方を変えると、動物にやさしい選択は、人間にもやさしい選択なのではないだろうか。人は自らを大切にするために動物を大切にすべきであろう。

 

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