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動物介在介入の施設評価 〜「アニマルセラピー」の受け入れ施設を査定する〜
2024年5月15日 掲載
目次:
動物介在介入の施設評価とは
リスク管理の重要性
施設評価を怠ると…
関係者(動物を含む)全員の安心・安全のために
動物介在介入の施設評価とは
当法人では今までに動物介在介入(Animal Assisted Intervention, AAI)の実施に関する様々な電子資料を提供してきたが、動物介在介入を希望する施設そのもの、要するに現場になる場所の検討については、電子資料ではあまり言及してこなかった。動物介在介入を希望する施設を見るということは見落とされがちであるが、この「施設評価(サイト・アセスメント)」は動物の癒しをお届けするにあたり、とても重要な段取りである。
動物を医療、福祉や教育などの現場に参加させるにあたっては、その前段階にて多くのことがらを評価しておく必要がある。これらの評価において特に注目されがちなのは、連れていく
動物の適性
である。どのような性格であるか、攻撃性などの問題はないか、ハンドラー(動物を扱うボランティア)によってしっかりと行動が管理されているのか等々に加え、感染症などの管理ができている健康な個体であるか、衛生管理が行き届いているかなどもチェックする必要があることは、常識として多くの関係者が認識していることであろう。
また、動物を連れていく人間のボランティア、すなわち
ハンドラーに対しても確認が必要
な点があることは広く知られていることである。動物の扱いが人道的であるか、訪問対象者の個人情報に関する守秘義務の認識ができているかなどに加え、米国のペットパートナーズ(旧デルタ協会)の訪問チームの適正評価試験においては、試験官などに対する話し方、試験当日の服装や身だしなみまでがチェックされるのである。しかし、そのような状況の中でしばしば見落とされてしまうのが受け入れ側のチェック、すなわち施設自体が動物介在介入を受け入れることができるかどうかの査定である。
リスク管理の重要性
動物介在介入の実践を考える際に最も重要な要素がリスク管理である。効果を求める前に、まずは活動中に事故などが起こらぬように事前にあらゆる側面に目をむけてトラブルシューティングをしておくことが必要であり、それ無くしては実践に踏み切るべきではないということを忘れてはならない。施設評価は、この準備段階の重要な要素の一つなのである。
何故、施設評価が必要なのだろうか?それは、実際に動物を連れて訪問した際に、すべてが円滑に進むようにするためである。
では、受け入れ施設ではどのようなことを確認すれば良いのだろうか?ここにはたくさんの要素があり、その一つ一つを手寧にチェックすることが重要なのであるが、大まかに言えば、チェック項目は施設の「ハードウェア」、つまり建物や設備に関する事項と、「ソフトウェア」、すなわち職員や入所者のあり方、言い換えれば人間要素に分けることができる。動物を連れていく場所の「使い勝手」はどうか、そして中にいる人間に関する問題はないのかという点を見るということである。
施設評価を怠ると…
このような施設評価を怠った場合には、どのような問題が起こる可能性が浮上してしまうかについて考えてみたい。単純に言えば、例えば駐車場がないことが訪問当日に発覚したらどうなるか?当たり前のこととして考えていたことが、いざ現場に出向いてみたら「アッと驚く」ような状況に遭遇してしまったということになるだろう。このようなシンプルな点一つでも、事前に確認ができていなければ大きな問題と化してしまうということなのである。
また、訪問した際に一部の職員からクレームが多数寄せられたなどということも起こり得ることであろう。「毛がたくさん落ちないか…」、「排泄は??」等々の疑問を口にする人に、施設内で遭遇する可能性もある。動物の訪問を疑問視する職員はいるのであろうか?どのような疑問を彼らは抱いているのであろうか?このようなことも、事前に知っておく必要があるのではなかろうか。また、このような疑問を抱いている職員がいるのであれば、それを前もって説明会などを実施し解消することができるかもしれない。
関係者(動物を含む)全員の安心・安全のために
しかしながら、これらのことはまずはチェックを入れなければわからないことなのである。いくら動物に適性があっても、そしていくらハンドラーの教育を行っていても、受け入れる側に問題が存在するとしたら円滑な活動を展開することはできない。現場の空調は?広さや床材等々は適切?どのような対象者がいるのか?動物と接触を避けるべき人はいるのか?このようなことをはじめとするいくつもの項目で受け入れ施設を評価していくことが大切なのである。そして、残念ながら、時にはこの施設評価の結果次第で訪問要請をお断りしなければならないこともあろう。しかし、前述したように、かかわる人間と動物、すべての関係者の安心・安全と、質の高い活動の提供のためには「リスク管理」がまずありき、それ無くしては動物介在プログラムをお届けすることはできないという点は、ぜひ受け入れ側の施設を含めた関係者全員に、共通認識として理解してほしい。
当法人では、そんな施設評価の基本的な流れや検討すべき要素などを解説した電子資料(PDF)「
動物介在介入実施における受け入れ施設の評価〜『アニマルセラピー』の現場を査定する〜
」の販売を開始した。動物介在介入を希望する施設関係者や動物の癒しをお届けする活動団体関係者にぜひ、役立ててほしい。
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