アメリカのアニマルシェルターってどんなところ？
米国アニマルシェルターツアーに向けたおさらい
2018年06月05日 掲載
アメリカのアニマルシェルターってどんなところ？
米国アニマルシェルターツアーに向けたおさらい
一般社団法人アニマル・リテラシー総研が今秋に実施する米国アニマルシェルターツアーは、動物福祉やレスキューに関わっておられる方々に優良な情報提供を目的として企画されています。主要な視察先は、全米でも五本の指に入ると言われている二つの動物保護団体です。サンフランシスコ動物虐待防止協会(San Francisco SPCA, SFSPCA)は、米国でも先進的な州であるカリフォルニアで長年動物のレスキュー、愛護教育等々の分野で活発に貢献を続けてきた団体です。特にSFPCAのシェルターであるマディ・センターは、地元支援者からの多大な寄付で建てられた素晴らしい施設です。
犬たちをあたかもリビングルームにいるような環境に入れているために、彼らの行動が非常に落ち着いていることに驚くばかりです。言うまでもなく、潤沢な資金があってこそできることとではありますが、譲渡率を上げるための努力も様々な形で実施されているために、他の施設からの動物を受け入れるだけの余裕もあるのです。
むろんしっかりとした動物病院も設置されているので、不妊去勢手術も徹底して行われています。今回は、その真向かいにあるサンフランシスコ市の動物愛護センターも見学いたします。官民対比させてみるのもまた勉強になるでしょう。
オレゴン州は、全米において最も動物福祉の法令が先進的な州であると言われています。さらに、ポートランド市は、全米一「ドッグ・フレンドリー」な都市としても有名です。人口比で言うとドッグパークの数、獣医専門医の数、ドッグ・デイケアの数などが抜きんでているということです。
その中で、オレゴン動物愛護協会(Oregon Humane Society, OHS)は、米国で三番目に古い老舗の動物保護団体です。シェルターには、犬、猫やウサギなどの小動物も収容されています。収容施設は近代的で、動物をより魅力的に見せるように設計されているように感じます。
さらに、サンフランシスコ同様他の団体からの動物も受け入れています。また、OHSは、非常に設備の整った病院を運営しています。なんとこの病院は、オレゴン州立大獣医学部のキャンパスの一部に指定されているのです。指導教員も常駐しています。上級生は、卒業前に必ずこの病院のローテーションに入り、約50匹相当の不妊去勢手術のメスを握ります。また、一時預かり家庭などが検診に訪れた時のための診療室もあり、そこで学生たちは問診や検診などの経験も重ねます。
さらに、学生のうちに動物保護施設を経験するために、意識もそれなりに向上するということです。うらやましい限りの施設と仕組みです！
上記の2か所以外に、ポートランドでも近隣の公的施設や猫専門のシェルターの見学も予定しています。この猫専門のシェルターは工業団地の一部にあり、以前倉庫・作業所であった建物を改装して作られたところです。しかし、内装などに工夫をし、非常に魅力的な空間を作っています。このような、施設を来訪客にとって魅力的にするためのデザインなどにも学ぶところが多いのがアメリカの施設の特徴です。
どの団体も沢山のボランティアを抱えていますが、それらのボランティアたちのほとんどが所謂「ペーパー・ボランティア」ではなく、しっかりとそれなりの時間を働いてくれる方々なのです。我が国の動物保護活動の中では、どのようにしてボランティアの士気を維持するか、譲渡率を上げるための工夫はどうしたら良いか、動物保護団体が提供すべき専門サービスとは何か、他の団体との連携の取り方等々の課題に悩んでおられる方々が多数おられると感じていますが、今回の研修でその答えの糸口が見つかるのではないかと思います。
言うまでもなく、訪問先の方々のお話もうかがえるのみならず、それをすべて日本語通訳付きで聞くことができ、質問も同様に通訳付きですることができます。どうかこの機会をお見逃しなく！
一般社団法人アニマル・リテラシー総研では、今回のツアーが成功したら、さらに様々な海外の施設を見学できる機会を設けていきたいと考えております。
